家事代行のプロが教える！コートの毛玉をキレイに取る正しい方法と予防のコツ

まず知っておきたいのは、「そもそも毛玉はどうしてできるのか」ということ。原因を理解することで、対策や予防の仕方がぐっと明確になります。コートの素材や扱い方によって、毛玉の発生にはさまざまな理由があるのです。

■毛玉の正体は“こすれ”による繊維の絡まり

毛玉は、着用時に生地同士が擦れ合うことで、繊維が表面に浮き上がり、絡まり合って丸く固まったものです。特に脇の下、袖口、バッグが当たる肩や背中など、摩擦が多い部分は毛玉ができやすい傾向があります。つまり、日常の動作やバッグとの接触など、ちょっとした摩擦の積み重ねが毛玉の原因なのです。

■素材によって毛玉の発生リスクが違う

コートの素材にも毛玉ができやすいものと、できにくいものがあります。例えば、ウールやカシミヤなどの天然素材は柔らかく繊維が短いため、毛玉ができやすい傾向があります。一方、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維は強度が高いものの、静電気を帯びやすく、ホコリや細かな繊維が吸着して毛玉が生まれやすくなります。素材を理解しておけば、お手入れの際に「何を使うべきか」「どこを注意すべきか」が見えてきます。

■保管や着用頻度も毛玉に影響

毎日同じコートを着ると、同じ箇所に摩擦が繰り返され、毛玉がどんどん増えてしまいます。1着を酷使するのではなく、数着をローテーションして着ることが生地への優しさにつながります。また、クローゼットの中で衣類同士が擦れ合うことも原因のひとつ。保管時のスペース確保も毛玉予防のポイントです。

コートは素材によって繊維の性質が異なるため、同じ毛玉取りの方法では逆効果になることも。ここでは代表的な3素材（ウール・カシミヤ・ナイロン）の特徴と、プロが実践しているお手入れ方法を紹介します。

■ウールコートはブラシと毛玉取り器の併用が◎

ウール素材は保温性が高く冬の定番ですが、毛羽立ちやすいのが難点。まずは洋服ブラシでホコリを落とし、毛の流れを整えます。その後、電動毛玉取り器を軽く当てて毛玉を除去。毛玉取り後は1日風通しの良い場所で休ませることで、繊維の回復を助けます。「着たら休ませる」という習慣が、長持ちの秘訣です。

■カシミヤコートは“なでるように”が鉄則

カシミヤは非常に繊細な素材のため、強い摩擦は厳禁。毛玉を取る際は、専用のカシミヤブラシを使用し、やさしくなでるようにケアします。毛玉が目立つ場合は、指でつまみ取る程度に留めるのが安全です。お手入れのあとは、陰干しで湿気を飛ばし、通気性のよいカバーで保管しましょう。「触れるほどに育つ」と言われるカシミヤは、日常の扱い方が美しさを左右します。

■ナイロン・ポリエステルコートは静電気対策を

ナイロンやポリエステルなどの化学繊維は、静電気が毛玉の原因になることがあります。そのため、洗濯の際は柔軟剤を使って帯電を防止。
着用前には静電気防止スプレーを軽く吹きかけるのもおすすめです。また、クローゼット内で他の衣類と密着させすぎないようにすると、摩擦を減らせます。

コートの毛玉は、誰にでも起こる自然な現象ですが、正しいケアで大きく減らすことができます。摩擦や静電気を意識し、素材に合った方法で丁寧にお手入れすることが何より大切。日々のブラッシングやローテーション、そして適切な保管方法を取り入れるだけで、コートは驚くほど長持ちします。

お気に入りの一着を、来年も再来年も気持ちよく着るために。今日から少しずつ、毛玉ケアの習慣を取り入れてみましょう。