ワンダフルストーリーvol.13 「ロールキャベツ」

#ワンダフルストーリー

家事代行事例⑬

ロールキャベツ

前職のサッカークラブでは、食育インストラクターとしてサッカーなどのスポーツ関係者に、食の大切さを伝える仕事をしていました。調理師の資格もありましたので、実際にお料理を作る仕事がしたいと思っていたところ、ホームぺージでお料理代行のキャストサービスを知ったのです。面接では「磨け、磨け、自分を磨け、仕事を砥石に自分を磨け」というミニメイドの会社理念に触れて、「この会社で働きたい」と思いました。
すぐに営業の大村さんから連絡があり、「息子さん2人がサッカーをしているお宅に行っていただけますか? これもご縁でしょうから」とお話をいただいたのが井上様でした。

息子さんは小学校6年生と高校1年生、奥様が8月末に急死されて、ご主人様は長期の休暇を取られているところでした。

10月に初めて伺った時、息子さんは小学校6年生と高校1年生、奥様が8月末に急死されて、ご主人様は長期の休暇を取られているところでした。食事のご要望は、育ちざかりの息子さんたちの栄養面を考え、バランスの良い食事にして欲しいこと、そして、下の息子さんが中学受験なので、カゼを引かないように、栄養面からの体調管理にも気を配って欲しいとのことでした。

献立の基本は一汁三菜といわれますが、ご年配の方の三菜とは違って、だし巻き卵で1品にはなりません。二菜でいいですと言っていただいたので、ボリュームのある二菜をお出しすることにしました。お魚だけでは息子さんたちは物足りないので、お肉料理も必ず入れるようにしています。おひたしなどは食材が余ればそれでお作りしています。

たとえば、アジの香草焼きと肉豆腐で二菜、ボリュームたっぷりのお汁物で一菜です。豚汁がすごくお気に召したようで、毎回でもいいとおっしゃるので、たくさん作って、残りは小鍋に移して次の日にも召し上がっていただけるようにしています。

ご主人様が1月に仕事に復帰されてからは、双方のご両親が交代で上京され、お孫さんたちの世話をされていました。私が行く週1回は、夕飯作りをお休みしていただき、私の料理を召し上がっていただきました。普段召し上がらないビーフストロガノフのような洋風料理や、リクエストで作ったアンコウ鍋など、毎回、楽しみにしてくださいました。

カゼをひかないようにポリフェノールやビタミンCが取れるココアやホットレモネードなどをお取りいただくこともおすすめしました。

下の息子さんは受験を控えて、塾に毎日通われていましたが、学校から帰って塾に行くまでにお腹が空きます。腹もちする軽食やおにぎりを作っておき、それにプラスして、カゼをひかないようにポリフェノールやビタミンCが取れるココアやホットレモネードなどをお取りいただくこともおすすめしました。息子さんも喜んでいたようです。

受験の直前は特に消化が良く、脂っぽくないもの、お野菜なら線維が少ないじゃが芋や人参など、栄養価が高い卵、あるいは脳の働きを良くする牛肉などのお料理をご提案しました。

ちょうど受験の時、1週間ほどいらしていた妹さんから、試験の日に持って行くお弁当の献立を聞かれました。試験中は緊張しているので一口で食べられるようなものはどうでしょうとご提案すると、「そのようにしました」とメールをいただきました。受験結果が気になっていると、ご主人様からメールがきて、「合格しました。人目も気にせず号泣してしまいました」とありました。後日、お赤飯と鯛で合格祝いのおめでたいメニューをお作りしたところ、「いつもおいしいお料理をありがとう!!」と言っていただきました。

「大きさも我が家の1.5倍。妻の味に似ていたので、正直びっくりしました」

冬の寒さが身にしみるころでした。煮込み料理のロールキャベツはいかがでしょうかとご提案したところ、奥様の得意料理だったそうで「ハードルが高いですよ」と返信があり、プレッシャーを感じましたが、ドミグラスソース味で、少し大きめのロールキャベツを作りました。私の息子にも成長期にはロールキャベツが小さいと物足りないので、大きめに作っていたのです。「いかがでしたか?」とメールすると、ご主人様はとても紳士的ですが、気さくな方で、

「でかっ!」
「うめ〜!!」

と漫画のような大きな文字が躍っていました。「大きさも我が家の1.5倍。妻の味に似ていたので、正直びっくりしました」とありました。

4月に、井上様ご家族は引っ越しをされました。「男3人の合宿生活が始まります」とご主人からメールがありました。私も週2回伺うことになりましたが、伺わない日は宅配のお惣菜を取って、ご飯を炊いて召し上がっているようです。宅配メニューを前もって知らせていただき、和洋中、同じ食材が重ならないように、週2回のメニューを組み立てています。

健康管理のお手伝いは責任もありますが、共に毎日を明るく生きていくことにやりがいもあります。

最近の人気メニューは、エビ入りの揚げ春巻きです。毎週でも食べたいと、たいへん気に入っていただいています。
「夏でもスタミナがつくものを考えてください」と言われたので、お料理以外にも飲み物でも疲労回復できるように、生レモンを絞ってはちみつを加えてレモネードの素を作り、アイスポットに入れて置きます。息子さんたちがサッカーで体力を消耗して帰ってきたときに、飲んでくださっているようで、すぐになくなってしまいます。

ある時、ご主人様から「醤油さしを割ってしまいました」とメールがあったので、「買ってきましょうか?」と返信すると、「お願いします」と。その後、「キッチン周りと栄養管理はもうお任せしました」とメールをいただき、信頼してくださっていることをたいへんうれしく感じました。

最初に営業の大村さんと井上様宅に伺った時のことですが、試食のお料理を作り、ご飯が炊けた時に、大村さんが「奥様にも差し上げましょうね」と言うと、ご主人様は「ありがとうございます」と。それ以来、お仏壇にご飯をお供えしています。亡くなられた奥様から「宜しくお願いします」、といつも見守られているような感じがしています。

お忙しいお仕事のかたわら家事もこなしているご主人様とサッカーに燃える二人の息子さんたちの健康管理のお手伝いは責任もありますが、共に毎日を明るく生きていくことにやりがいもあります。

ミニメイドの理念のように、お料理作りの仕事を通して自分を磨かせていただいていることに喜びを感じ、これからももっともっと自分をピカピカにしていきたいと思っています。

キャストサービス 白田 英子

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